心の中の争点にしよう〜拉致と靖国
 全く選挙の争点になっていない拉致問題。こんな時期でも、日テレ「ザ・ワイド」はコンスタンスに取り上げてくれます。
 今日は重村智計教授をゲストに迎えて拉致問題をやってました。

 まずはVTRでご家族の悲痛な声、そして街で拾った声を紹介。
 街の声はみな同情的でした。争点にすべきだという声、多数。
 中には「争点にならなくても、国民はちゃんとわかってるはず。そのへんもしっかり見て誰に投票するか決めるはず」と答えた40才ぐらいの女性もいました。
 (ほんと、わかってくれてりゃいいんですけどね〜(T^T))

 その後スタジオに戻って、各党がマニフェストで拉致問題をどう扱っているかを紹介しました。
 マニフェストの内容については拙ブログで以前まとめたものがありますので、こちらを。
 8/20付「置き去りの拉致問題〜各党マニフェスト」
 もっとも今日の番組では、あまり詳しい記述までは取り上げませんでしたが。

 各党マニフェストの感想を問われた重村教授は、「『取り組む』とか『努力する』とかいう言い方しかしていない。『解決する』とどうして言い切らないのか。弱腰だ。はっきり『解決する』と言ってほしい。そして、拉致被害者を全員返せとはっきり訴えていくべき」と。

 司会の草野さんも、「何度もこの番組で触れているが、国民は納税などの義務を果たして、その代わりに国から保護をしてもらう。が、拉致された人もご家族も長年苦しんでいる。北朝鮮も拉致を認めた。日本が原状回復と真相究明を強く求めるのは当然のことです」と、いつものように正論を。

 有田芳生さんは、「横田めぐみさんをはじめとする拉致被害者を奪還することが、日本の大きな課題であることは間違いない。めぐみさんの遺骨が偽物だとわかった時、日本政府は『北朝鮮側が迅速かつ誠意ある対応をしない場合、日本政府として、厳しい対応を取らざるを得ない』と怒りを表明した。なのに、この8ヶ月いったい何をやってきたのか。今回の選挙の候補者で、拉致問題を正面から言っている人はほとんどいない。拉致問題を真剣に考えている人は誰か、政党はどこかを私たちははっきり見ていかないといけない」と、こちらもいつものように正論を。

 重村教授の北朝鮮に対する見方は、「手詰まっているのは北朝鮮であり、日本ではない。いま、北は担当者の入れ替え中。困れば絶対に日本との話し合いに応じざるをえなくなる。困っているのは北朝鮮の方」。

 ここでデーブ・スペクターが、「万景峰号が平気で来てる。違和感を感じる。韓国での韓国での統一ムードは果たして拉致問題解決につながるのか?むしろ日本にとっては逆効果なのか?」と、質問。
 これに対して重村教授、「日本にとっては、拉致問題にとってはマイナス」と(当たり前ですね(^_^;)。

 締めに入って草野さんが、「ご家族の方々がよく言っておられるのは、『私たちには時間がない』という言葉。真に迫る切実な声を、政治家には聞いてもらいたい」。
 重村教授も最後に一言、「国民の命を救うという使命感を感じてほしいですね」。

 ……こんな感じでした。

 一方、夜にはフジテレビが「ニュースJAPAN」で拉致問題を特集。
 横田ご夫妻の密着取材&インタビューが放送されました。インタビュアーは箕輪解説員。やりとりを一部紹介します。

 箕輪さんが、「2年前の衆院選と比べて拉致問題が埋没していますが、不安はありますか?」と質問。
 それに対して横田滋さんは、「外交とか年金、税金、重要なことがありますので、そういったことに含めて、皆さんには投票の参考にしていただきたい」と、回答。
 また早紀江さんは、「郵政ばかりが言われてますが、めぐみのことが浮上してから、活動が9年目になるが、どうなってるんだろうと思います」。

 箕輪さんの次の質問は、「北朝鮮はいろいろ問題あるが、すぐに制裁発動してほしいですか?」。
 滋さんの回答は、「六者協議などで向こうが出るか出ないかという、微妙な段階の時に制裁をやって、協議出ないとなると日本のせいにされるので、考えてやってほしい
 ……何で滋さんがここまで考えないかんねん・゚・(つД`)・゚・

 さらに滋さん、「どこの家族でも、自分の子供が迷子になったり誘拐されたら、私たちと同じかそれ以上に行動すると思う。拉致家族は特別な人ではないと思う。現実にそうなる人は少ないが、子供といっしょに暮らせるだけでも幸福だと思ってほしい
 ……滋さんの笑顔がかえって辛いっす・゚・(つД`)・゚・

 スタジオに戻って、アンカーの松本さんが箕輪さんに、「拉致問題は大切なものであるのに、議論の俎上に載らずにここまで来ましたが……」と、振りました。
 箕輪さんは、「が、有権者の関心は低くはない。多くの方が耳を傾け、自分に重ね合わせてる。家族がどんなに大事か、と。拉致問題を正面に据えてる候補者は少ない。横田さんたちは不安に思われている。……増元照明さんのお父さんは『それでも俺はこの国を信じる』と言った。このことを候補者は忘れてほしくない。目の前で助けを求めている人がいる、この人達に手を差し伸べなくてどうやって政治をやるのか」と、最後は力強い声で。
 発言を全部は追いかけられなかったけど、こんな感じで、相変わらずの超正論でした。

 拉致問題もそうですが、靖国問題(実質、対中問題)も選挙の争点にはなってませんね。
 今日は産経新聞が朝刊で、「かすむ『靖国』/追悼施設建設も衆院選争点にならず」と題して、小特集を組んでました。産経WEBには載ってないみたいです。
 その中で興味深いと思ったのは、以下のくだり。

 また、政府が靖国問題解決のため検討した靖国神社に代わる新たな国立・無宗教の追悼施設建設も、選挙の争点には浮上していない。政府は追悼施設建設のための調査費を、来年度予算の概算要求には盛り込まなかった。「予算要求することは建設を決めたことになる」(細田博之官房長官)との立場からだ。公明党は予算計上を求めていたが、「八月十五日の靖国参拝者が、過去最高を約八万人も上回る二十万人五千人に達したことも(政府の判断に)影響した」(政府関係者)とみられる。

 8月15日に参拝された皆さん!(^o^) 皆さんの思いは、ちゃんと政府に届いたようです。

 logさんが9/6付エントリーで、小泉首相の「あの戦争で心ならずも戦場に出ざるを得なかった方々たち」という発言の中の、「心ならずも」という言葉に触れておられます。
 私もこの「心ならずも」という言葉が、最近非常に気になります。

 「正論」「諸君!」などのオピニオン誌を見てますと、やはりこの言葉に違和感や怒りを感じる人が多くいるのがわかります。当時召集された人たち(読者も含め)はもちろん、戦後世代の人たちの中にもそう感じる人が多くいるようです。

 「正論」9月号、冒頭のエッセー特集に、演出家・映画監督の野伏翔氏のエッセーが載っていました。
 もう終わってしまったんですが、8月1〜6日まで靖国神社境内で野伏氏の演出による野外劇「同期の桜」(作・榎本滋民氏)が上演されたそうです。

 この劇を作るにあたって、野伏氏は学徒出身の海軍士官で、特攻隊員として黒枠付きの写真まで用意したまま終戦を迎えたという方に軍規をご指導いただいたそうです。
 以下のくだりを読んだ私は泣けて仕方ありませんでした。

 その方は、「特攻を志願した直後は目の前が真っ赤に染まり、全身に熱湯を浴びせられたような気がして震えがとまらず、その後も放心状態が続いた。しかし数日して、道端で無心に遊ぶ幼女を目にしたとき、ああ、俺はこの娘たちの命を救うために特攻を志願したのだったと気づき、急に気持ちが楽になった」と述懐された。七千人もの特攻隊員の志願動機は、どの手記を読んでも、家族や同胞、そしてわが国への「愛」である。

 いや、それは後付けだ、好んで特攻隊員になったんじゃないだろ?仕方なく志願したんだろ?だったら「心ならずも」じゃないか……と言う人もいるかもしれません。
 そう思った人は、こう置き換えて考えてみて下さい。
 もし、あなたの子供が川で溺れていたとします。その時あなたはどう思いますか?どう行動しますか?「たとえ自分は死んでもいい、子供を助けたい」という気持ちになって、自然と川に飛び込むんじゃないですか?
 それは決して「心ならずも」ではないですよね。前向きな気持ちですよね。

 野伏氏のエッセーの続きを紹介します。

 神風特攻は昭和十九年秋に始まった。「同期の桜」に出てくる第十四期飛行予備学生たちの出撃は翌二十年四月に集中している。戦争終結までわずか四カ月…彼らのほとんどは日本の敗戦を予想していた。その上で、B29による民間人への無差別爆撃を何とかくい止めようと、また講和の条件が日本にとって少しでも良くなるようにと、唯一無二の若い命を投げ出したのである。

 出撃数時間後には、南の海に愛機とともに砕け散る我が身を思い、その先の再会を約して交わした言葉が、「靖国で会おう」であった。

 今、靖国神社をめぐる議論がかまびすしい。悲しいことに日本人の中にも隣国の政治圧力に同調する者がいるが、靖国神社を冒涜することは、尊い命を犠牲にしてわが国を守ろうとしたすべての人々の死を辱め、わが国近代の歩みを否定するものだと私は思う。それは今を生きる私たち自身の存在をも揺るがすことになろう。決して過去の問題ではない。

 靖国問題は、日本人の「想像力」の欠如が引き起こしている側面もあるのではないか?と、私は最近思うようになりました。
 私も人のことは言えませんが、この「想像力」というのが最近、多くの日本人から欠如しているような気がしてなりません。

 たとえば歴史。
 『明治維新を成し遂げた』『日清戦争に勝った』『日露戦争に勝った』『韓国を併合した』『日中戦争に突入した』『真珠湾を攻撃をした』『ポツダム宣言を受け入れ敗戦を迎えた』……
 これらの事象一つ一つは単なる「点」でしかありません。「点」をつなげて「線」で見ないと真実は見えてきません。
 が、学校で教わるのはたいがい「点」としての歴史です。
 (私もたいがいそういう教育を受けてきましたが、高校の世界史の先生が素晴らしい方で、歴史を物語風に「線」で教えて下さり、流れが非常に良く理解できました)

 歴史を「点」として単発的に見ている限り、なかなか想像力は湧いてきません。
 「線」で見て初めて想像力が湧いてきます。「その時代にそこに生きた人たちは、なぜこういう行動を起こしたのだろう?」と、興味を持って考えることができるようになります。
 
 あの戦争の時代を生きた日本人が、日々どういう気持ちで暮らしていたのか。国や故郷に対してどう思っていたのか。そして、もし自分があの時代の一員だったとしたら、どのように行動しただろうか?

 当時をリアルタイムで生きた人たちの心を、完全に理解することは不可能でしょう。
 が、日本が生きるか死ぬかという時代、彼らがどれほど切羽詰まった気持ちで(あるいは逆に希望を未来につなげて)生きていたのかを、ある程度まで想像することは私は可能だと思います。
 皆さんも想像力を働かせて、自分がタイムマシンにでも乗ったつもりで、もう一度歴史を振り返ってみませんか?

 付け加えるならば、政治家の中にも歴史を「点」でしか捉えていない人が、何とたくさんいることでしょう。
 「点」でしか捉えられないから、祖国のために戦って亡くなっていった父や祖父の世代の声なき声に、耳を傾けることができないのではないでしょうか。
 そして「点」でしか物を言ってこない中国や韓国の尻馬に乗って、日本批判を繰り広げている。私にはそんな愚かな図式が浮かんでくるのです。
 そのような政治家は、他の問題に対しても「点」としてしか捉えられないのではないか?と、いう気すらしてきます。

 どうか皆さん、今回の選挙では、拉致問題や靖国問題をあなたの心の中の争点にして下さい。
 そして、これらの問題をちゃんと「線」として捉えている候補者に投票なさって下さい。

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Posted by くっくり 01:42 | 歴史認識 | comments (19) | trackback (5)
朝日新聞がまたどさくさに紛れて
本社前社長の箱島新聞協会長が辞任へ 虚偽メモ問題陳謝
2005年09月07日21時56分

 日本新聞協会会長の箱島信一・朝日新聞社取締役相談役(前社長)は7日、朝日新聞記者による虚偽のメモにもとづく選挙報道問題について、「新聞をはじめジャーナリズム全体の信頼と名誉を傷つける不祥事」だとして陳謝し、同会長を辞任すると表明した。

 辞任は同日開かれた新聞協会の運営委員会と理事会で了承され、新聞大会が終了する10月下旬にも正式に辞任する。後任人事は未定。

 箱島協会長は理事会後の記者会見で、今回の問題について「偶発的なこととは思っていない」としたうえで「(組織の)体質的、構造的問題ととらえていかないと再発防止策も出てこない」と述べた。

 この問題は、亀井静香元自民党政調会長らによる新党設立の動きに絡み、本社長野総局の記者(28)が、実際は田中康夫長野県知事に直接取材していないにもかかわらず、亀井氏と田中知事の会談の場所や会談での田中知事の発言について虚偽のメモを作成。メモに基づく情報が盛り込まれた記事が掲載された。

 本社は、記者を懲戒解雇としたほか、東京本社編集局長と長野総局長を減給・更迭処分にするなど編集幹部を処分。社内に「信頼される報道のために」委員会を設置し、今回の事件の内部調査を進めるとともに、取材現場の実態や問題点の点検、記者教育などの見直しを進めている。

 箱島協会長は03年6月に選任され、今年6月に2年の任期で再任された。会長辞任に伴って、本社取締役も辞任する。

 《箱島協会長のコメント》朝日新聞社は虚偽のメモによる選挙関連記事掲載に関して紙面で経緯をご説明しお詫(わ)びしましたが、この不祥事は新聞をはじめジャーナリズム全体の信頼と名誉を傷つけるものであり、深く陳謝します。私はこの事態を重大なものと受け止め、日本新聞協会会長を辞任することを決意しました。本日の運営委員会ならびに理事会でその旨を伝え、ご了承をいただきました。新聞界が多くの課題に取り組んでいる中、任期を全うできず心苦しい限りですが、私の会長辞任が新聞の信頼回復のため意味ある一歩となることを心から願っています。

       ◇

 朝日新聞社の秋山耿太郎社長は7日、東京本社で記者会見し、今回の虚偽メモ問題について、「朝日新聞のみならず、新聞全体に対する信頼を傷つける結果になった」と陳謝したうえで、「『解体的な出直し』に不退転の決意で臨む」と述べた。

 秋山社長は、「創刊126年を数える朝日新聞は今、不祥事が続発するという大変な危機にある」「失いかけた信頼を取り戻すための最後のチャンスであろう」などと強調。自らの進退については、「今は大変な危機にあるので、逃げることなく立て直しに全力投球するのが自分の務めだろうと判断した」などと述べた。

 また、今回の問題を最初に公表する際、記者会見を開かなかったことについて「メディアとしての説明責任に対する認識の甘さがあった。私の判断ミス」と述べた。

 また、秋山社長は問題発覚後に社内に設けられた「信頼される報道のために」委員会の調査結果を9月中にまとめるとの考えを表明。「記者教育や会社の風土、制度など根本的な再建策を考える。新聞づくりを土台から改革していく」と述べた。改革の期間については「半年か1年はかかると思うが、短期決戦で道筋をつけたい」と話した。

 シチュエーションが非常に似てるので、過去の拙ブログから丸々引用させていただきます(手抜きじゃないのよ(^_^;)。

 こりゃもう明らかに朝日は確信犯ですな。
 「衆院選のどさくさに紛れて、朝日新聞は問題をうやむやにしようとしている」という自民党の推測は十中八九、間違いないでしょう。
 もう一つ言えば、今日は東海・関東方面に台風が来てます。朝日としては、「今日ならニュースで大きく取り上げられない。謝罪しても目立たない」ってなもんでしょう。

拙ブログ8/26付「朝日新聞が選挙のどさくさに紛れて」より)

 選挙やら台風やらでマスコミが忙しい時に限って動く朝日新聞。
 思惑通り「報ステ」はスルー。「NEWS23」は伝えてたけどね。NHKも当然(^_^;

 「私の会長辞任が新聞の信頼回復のため意味ある一歩となることを心から願っています 」って言われましても。残念ながら、朝日新聞に対する信頼はもうとっくになくなっちゃってますんで。
 読者の多くは、朝日捏造記事問題(NHK番組改変問題)をまだ忘れちゃいませんよ。

 また、「今は大変な危機にあるので、逃げることなく立て直しに全力投球するのが自分の務めだろうと判断した」という秋山社長の弁は、なかなか辞任しなかったNHKの元・海老沢会長の弁解にそっくり。

 ↓これは共同通信なんだけど、太字部分は朝日の記事には載ってない内容です。

説明責任の認識甘かった 秋山朝日新聞社社長
 記者が作成した虚偽取材メモに基づき誤った記事が掲載された問題で、秋山耿太郎・朝日新聞社社長は7日の記者会見で「当初会見を開かなかったことについて多くの方からおしかりをちょうだいした。説明責任に対する認識の甘さがあった。反省しおわびいたします」と謝罪した。
 秋山社長によると、発表翌日になって社内の一線の記者たちから「われわれは不祥事を起こした企業に記者会見を求めているのに、朝日新聞がこれでいいのか」などと対応を批判する声が出たという。秋山社長は「夜中でも会見を開くべきだった。私の判断ミスだ」と述べた。
 同紙は8月29日夜、メモを作った記者を懲戒免職とするなど関係者の処分を発表した際、報道各社に発表文をファクスで送り、記者会見は開かなかった。
(共同通信) - 9月7日20時12分更新

 朝日の記者からも批判が出てたんですな。まあ普通は出ますわな。多くの社員はまじめに頑張ってるわけで(報道とプロパガンダをごっちゃにする非常識な記者も一部いるが)、本社の対応がずさんだと下の人間が困りますもん。

 ネット住民にどう思われているのか?を朝日新聞社の人も非常に気にしてるようです。
 このところ、多くのブログさんで「asahi-np.co.jp(朝日新聞社)から当ブログにアクセスがあった」てな記述を目にしますが、ご多分に漏れずうちにも来てます(^_^;
 その際のYahoo検索のキーワードが「朝日批判」とか「西山卓」というのはまだわかるんだけど、「くっくり」で飛んで来てるのにはちょっと驚きました。私の個人情報でも調べようとしてるんでしょうか?

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