靖国参拝社説&「ワイスク」今日はカナダ人
 小泉首相の靖国参拝から一夜明けて。
 今日は各紙社説の紹介と、あと「ワイスク」がまたしてもトンデモだったのでそれも少し紹介したいと思います。

 その前に、まずは産経朝刊から興味深い記事をご紹介。

小泉首相靖国参拝 「心の問題」決意貫く 中韓の干渉強く牽制
(前略)
 一方で、首相サイドは昨年十一月のラオスとチリ、今年四月のインドネシアと過去三回開かれた日中首脳会談の前に「首相は時期は別として、靖国神社を参拝する。それでもいいなら会談を受ける」と非公式に打診していた。

 それでも中国側が会談に応じたのは、表では国内向けに靖国参拝を批判はするが、裏では首相の靖国参拝をあきらめ、他の課題について協議する損得勘定をしていたためともいえる。

 このため、中国が、歴史問題で日本に踏み絵を迫り、「日本より優位に立つための口実に過ぎない」(周辺)と首相が見切っていたフシがある。

 首相は周囲に「靖国で譲れば日中関係が円滑にいくなんて考えるのは間違いだ。靖国の後は教科書、尖閣諸島、石油ガス田…と次々に押し込んでくる」と漏らしており、中国に強い警戒感を抱いている。
(中略)
 「本来、心の問題に他人が干渉すべきじゃない。ましてや外国政府が、日本人が日本人の戦没者に、あるいは世界の戦没者に哀悼の誠をささげるのを、いけないとか言う問題じゃない」

 首相は十七日夕、記者団にこう言い切った。日本の内政問題である靖国参拝に干渉してくる中国や韓国を強く牽制(けんせい)したのだ。中国は今年、王毅駐日大使らが、「日本の政界、財界、マスコミを回って参拝中止への協力を呼びかけた」(自民党幹部)とされる。
(中略)
 首相は最近、「中国は、日本人の心の問題にまで踏み込んだことを後悔するだろう」と周囲に語っている。
(後略)

 小泉首相という人は実はものすごい策士なのかもしれん。
 もちろん郵政民営化法案成立までの一連の流れに関しては策士だなーとは思ってたけど、靖国問題に関してはあなどってました。
 「確固とした国家観を持ってるわけでもなさそうやし、『公約を守る』の一点のみでやってるだけでは?」と。
 もしかして「神舟6号」帰還と靖国参拝が同じ日になったのも、単なる偶然ではなく計算の上だったのかも?!
 (但しやっぱり確固とした国家観を持ってる人には見えないが)

 あともう一つ産経で興味深かったのは、岡崎久彦さんのコメント。

□岡崎久彦元駐タイ大使

 ■言葉の批判以外 実害なし
(中略)
 行きがかり上、中国、韓国による批判は当然、予想していたが、大使館や政府スポークスマンなどは激しい言葉遣いをしないと自分の立場が危なくなる人たちだ。日本に言っているのではなく、自分の後ろに向かって言っているのだと解釈すべきだ。

 今後、数日間の中国の反応は興味深い。これによって中国の今後の対日戦略や、あるいは中国内部の権力関係、特に強硬派と穏健派などが分かってくるはずである。
(後略)

 今日は超党派の「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」が参拝しましたね。
 我が選挙区の川条しかちゃんは「これはあくまでも日本の内政問題であって、外国から内政干渉されるものではない」と記者に対してコメントしてました。
 また、参拝はすでに選挙の時に遺族会に対して公約として言ってあったそうです。
 私は選挙では別の候補者に投票したんですが、しかちゃんに決まってしまったものは仕方ないので(おいおい)、今は割り切って応援することにしてます。

 さて、今日の各紙社説。一部引用しながらざっとツッコミを。

読売社説:[首相靖国参拝]「もっと丁寧に内外に説明を」
  先月30日の大阪高裁判決は、訴訟内容とは直接関係のない“実質的傍論”の形で、首相の靖国参拝は「違憲」という見解を示した。

 しかし、その前日の29日の東京高裁判決、今月5日の高松高裁判決は、いずれも首相の靖国参拝について憲法問題には触れずに、原告の請求を棄却した。

 高松高裁判決は「具体的事件解決のため憲法の解釈が必要となる場合にのみ、憲法解釈について判断するのが裁判所における違憲審査の在り方である」との見解も示している。

 「違憲判断」について説明したのはGJですね。
 でもあとは全体的に煮え切らない印象。
 読売は中曽根元首相を支持してる手前、「参拝は良かった」とか大っぴらには書かれへんのでしょうな。
 あと、新たな国立追悼施設の建設についてはややトーンダウンしてるような気も。
 とにかく難産の社説って感じ。
 編集手帳の方は心情的にめちゃ小泉寄りに見えるんだけども。


産経社説:首相靖国参拝 例大祭にしたのは適切だ

 特に突っ込む箇所なし。強調ポイントはこれ↓
 先月末、大阪高裁が傍論の中で首相の靖国参拝を違憲とする判断を示した影響とみられるが、大勢では首相の靖国参拝を認める司法判断が定着している。小泉首相は堂々と今まで通りの昇殿参拝を続けてほしかった。


毎日社説:靖国参拝 中韓の反発が国益なのか
首相が参拝のスタイルを工夫し、入念に時期を選んだとしても、参拝を容認することはできない。

 中国とまるっきり同じこと言ってますね(昨日のエントリーの最後の方を参照)。

 「反日」の高まりを抑えようと小泉首相は4月のアジア・アフリカ会議(バンドン会議)の演説で植民地支配と侵略の歴史について「痛切な反省と心からのおわび」を表明した。8月15日には談話を発表し、この中で「ともに手を携えてこの地域の平和を維持し発展を目指す」と誓った。

 にもかかわらず、今年もまた参拝である。中韓両国にとっては首相が「二枚舌」を使っているように見えるかもしれない。

 これね、中韓がよく言ってくるんですけどね、外交と慰霊は全然別物でしょう。
 もちろん戦争の反省はしますよ。でも「他国へのおわび」と「自国の戦没者の慰霊」とは全然別次元のことですやん。前者は外交、後者は内政。


朝日社説:靖国参拝 負の遺産が残った

 もうタイトルからしてゾクゾクしますねぇ。ところが中身を読んでみるとそうでもなかった。
 とか言いつつ、細かいツッコミは忘れない私(^^ゞ

 中国や韓国の反発をはじめ、国際社会の厳しい視線。9月末に示されたばかりの大阪高裁の違憲判断。割れる国内世論。すべてを押し切っての参拝だった。

 「国際社会の厳しい視線」って?「中国や韓国」以外にどこかの国が何か言ってきましたか?
 (今日は麻生総務相も「中国と韓国以外の国から言われたことはありませんから」ってコメントしてた。麻生さんGJ!)
 「国際社会の厳しい視線」って具体的に何なんですか?NYタイムズみたいな海外の反日メディアのこと?(ちなみにNYタイムズ東京支局は朝日新聞社内にある)

 「割れる国内世論」ってことは、参拝賛成派の国民も多数いたってことですよね。
 なのに「すべてを押し切って」って何よそれ。気ぃ悪いわ。私らは小泉くんに押し切られたんじゃないわよ。背中を押した側なのよ。

 でも「違憲判断」ってちゃんと書いてる。これは意外。どうした朝日。クレームが来たからって素直に折れる朝日じゃなかろうに。

 中国側にも、今春のような暴力ざたにならないよう冷静な対応を求めたい。対立の悪循環は避けてもらいたい。
 
 ( ゚Д゚) ハァ?「暴力ざた」??
 まるで限定的、個人的な暴力しかなかったような書き方ですな。
 中国政府脚本・演出のあの大規模な反日デモの印象を薄めようと必死と見た。
 いいじゃん、別にそんな気つかわんでも。どうせ中国様のデモは「きれいなデモ」なんでしょ?

 首相が参拝の方針を貫いたことで、日本は何を得たのだろうか。首相はあと1年で退任するそうだが、後に大きな負の遺産が残されたのは間違いない。

 いや〜、私は小泉くんが先鞭を付けてくれたおかげで、日本のあるべき姿が徐々に取り戻されつつあると思いますけどね。
 5年、10年経たないと見えてこないかもしれませんが、「正の遺産」となるのは間違いないだろうと。
 とか、マジレスしてしまう私って暇人?(^_^;

 ちなみに天声人語は小泉首相を忍者、サーカス、暴走車扱い。
 「司法の違憲の判断をも軽くみているような姿」とあるけど、軽くみてないからこそあんな参拝の仕方になったのでは?
 つーか、私は逆に小泉くんはあの違憲判断を必要以上に「重く」みすぎではないかと思う。理由は上の産経社説を参照。


日経社説:これが「適切に判断」した結果なのか

 まあ日経はねぇ。ビジネス的にはこう書かざるをえないんでしょ。


東京新聞(中日新聞も同じ):靖国参拝強行 改革の機運も台無しだ

 今日は朝日よりこっちの方がえげつなかったみたいですな。

 何をそんなに意地張って。こんな感想を抱いた人も多かろう。秋の例大祭が始まった靖国神社に小泉首相の五度目の参拝である。聞く耳持たぬ首相の尻ぬぐいに、官邸、外務省が走る。見苦しい。

 何せ出だしから↑これですもん。

 私たちは参拝を待ち望んでいたわけではない。

 だから勝手に「私たち」って括るのやめてもらえませんか?!
 もうあとは突っ込む気力なし。皆さん個々で突っ込んで下さい(手抜き(^_^;)。

 東京新聞は筆洗もすごいです。
 今月初め、中国旅行の途中、北京郊外の盧溝橋にある「中国人民抗日戦争記念館」を訪ね、展示が予想外に穏当なものだったことに感銘を受けた。
(中略)
 首相は記者団に「心の問題だから、外国政府がいけないとかいう問題ではない」と語ったが、胡主席が見せた外交的配慮が、首相にあったとは思えない。
(中略)
 盧溝橋は当時の堅固な石橋がそのまま残り、橋上の石畳には、何百年分もの轍(わだち)の跡が二条の溝になって刻み込まれていた。近所で遊んでいた子どもたちにカメラを向けると、笑顔でポーズを決めてくれたのがうれしかった。

 日本に配慮する胡錦濤はエライ!中国に配慮しない小泉はダメ!……はいはい、ワロスワロス。
 ガス田問題でも日本に配慮するよう胡錦濤に言ってもらえませんかね?
 これ書いた人はたぶん、「政治がやらないなら俺がやる!ペンの力で日中友好の架け橋になってやる!」って感じで、自分に酔ってるんだと思う。
 『子ども』で締めるあたり、そういう匂いがプンプンと……(^_^;


 ・・・・・ここからは「ワイスク」です・・・・・

 スタジオで靖国神社の元宮司さん(たぶん湯澤貞さん)の吊し上げ大会をやってました。
 途中から見たんですが(12時8分ぐらいから)、かなりえげつなかったです。

 もう一人のゲストはカナダ人ジャーナリストで元フォーブスアジア太平洋支局長のベンジャミン・フルフォード。何でカナダ人が?関係ないやん。
 「靖国参拝で文句言ってるのは中韓だけらしい」と国民が気づいてきたので、焦ったテレ朝が、特定アジア以外の白人社会も靖国参拝に反対してるんですよ〜と、視聴者を洗脳するために出してきたのかもしれません。

 が、ワタシ的にはグッドチョイス!!
 こんなアホ外人だったらワイスクご覧の奥様方も洗脳されませんわ。自信ある。
 何せね、いきなり「小泉」と呼び捨てですもん。これはアカンわ。
 何やかんや言うても小泉くんはまだまだ人気あるし、さほど小泉くん好きじゃない奥様でもね、人の国の総理大臣を呼び捨てにするような外人にまず好感は持ちませんわ。

 昨日のエキセントリックな中国人に続いて、今日は高慢ちきなカナダ人。
 「ワイスク」は、「靖国参拝に反対してる外人って変なのばっかりね」と奥様方に印象づけることに貢献したんではないかと。

 ・ベンジャミン・フルフォードの発言から。

 「人を大量に殺した人を祀っている。中国人を大量に殺したのに博物館(遊就館)では触れていない。美化している」
 「天皇陛下でも避けているのに、なぜ小泉が行くかわからない」
 「全世界が日本を間違いだと言ってる。何で日本はそれを無視するのか?」
 「日本は平和平和と言い訳するが、こういう例えができる。奥さんには浮気しないと言いながら、愛人とつきあっている。靖国神社はそれと同じことをしてる。馬鹿にしている。考えが甘い。100年たっても200年たっても許さない」

 浮気?愛人?何じゃそのアホな例えは。レベル低すぎ。
 もしかして主婦のレベルに合わせたつもり?主婦を馬鹿にすなや!

 「アジア」がついに「全世界」にスケールアップしちゃいましたね。世界って狭いのねぇ(^_^;

 あと私は聞き漏らしちゃったんですが、ナチスとの比較もしてたそうです。お約束ですね。

 ・ついでに川村晃司の発言も。

 「この前会ったドイツ人ジャーナリストが言っていた。小泉首相は『心の問題に干渉すべきでない』と言うが、これは被害国の心の問題である。小泉首相は稚拙であると。一市民として行くのであれば総理をやめていくのがわかりやすい

 たかがこんなことで総理を辞めろと?ほぉぉぉぉ〜。
 (「一国民」じゃなく「一市民」って言い方がすでに嫌だ)
 しかも都合よく「ドイツ人」なんて出してきて。実名言ってましたが、メモ取れず残念(ご存知の方、ご一報を)。
 ドイツ人も反日が多いですよね。「同じ敗戦国でもドイツの方が日本よりずっとマシ」と思い込みたいんですかね。
 
 元宮司さんは、可哀想にフルフォードらに攻撃されるままという状態で、ほとんど反論とかされてませんでした。
 何を言われても原理原則を淡々と説明する、という姿勢で。

 「国のために尽くした人を昔から祀っている。国のために貢献した方をお祀りしている。日本人としては当然だし、だから多くの人のお参りがある」
 「神社としては公的私的という区別はしてない」
 「神社は慰霊で戦没者を祀る、遊就館は戦没者を顕彰する、ということをしている。当たり前のことをしている」
 ……こんな感じ。

 ほんとのこと言うと、もっと反論してほしかったんですが……。
 アホ外人なんか相手にしても仕方ないと、あきらめモードに入っちゃったんかなあ。

 【追記10/19 PM2:00 コメント欄にindicium様からフルフォードの発言の前後の起こしを頂いています。どうぞご覧下さい】

 さて、このベンジャミン・フルフォード、どこかで見た外人だなと思ってたんですが、昨日付エントリーにいただいた「以前三宅久之さんにぼろくそいわれてこてんぱんにされていた人」というコメントで思い出しました。

 この5/16に「TVタックル」に出演してました。
 日本人の愛国心と国益・在日外国人VS三宅激突・なぜ日本は恨まれる!?中韓(秘)反日教育の実態」

 その時の様子、どこかに載ってないかと思って探したら、ありました。
 こちらのサイトの5/16分をご覧下さい。ちょこっと引用させていただきます。

 フルフォードの発言より。A級戦犯が祀られてるから靖国参拝に問題があるとか言っておきながら、極東軍事裁判の不当性で追い詰められてくると「A級戦犯なんかどうでもいい。問題なのは戦争を賛美する施設に首相が参拝してることだ」とか言い出す。しかも靖国が何のために建立されたかも全く分かってないのに。
(中略)
 更にツッコミ所。フルフォードは靖国が存在し、また首相が参拝しているから日本は世界中から非難を浴び世界の孤児なのだ、と言い切った。

 おお、ここでは「全世界」ならぬ「世界中」発言!
 あなたのおっしゃる「世界中」って………以下略。

 さらにネットを調べてみますと、これなんか日本のマスコミ批判などで良いことも書いてるようなんですが、もっといろいろ調べてみたら、週刊金曜日の協賛で講演会をやってるのを発見。
 だめだこりゃ(^_^;


※お勧めブログ:今日の覚書、集めてみましたさん
 靖国参拝が「あっち側」でどういうふうに書かれてるかを紹介して下さってます。
 ・靖国参拝:オーニシが書くと?@NYT
 ・靖国記事ワースト賞@ニューヨーク・タイムズ
 ・靖国記事ワースト賞はこっちか!?@ワシントン・ポスト
 他にもいろいろ紹介して下さってます。ぜひご覧下さい。

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Posted by くっくり 01:07 | 歴史認識 | comments (24) | trackback (10)