靖国問題〜「知識」の前に「感覚」で
 昨日付エントリーで、朝日社説『追悼施設 世論は賛成なのに』を題材に、「世論が賛成してれば何でもええんか。そしたら何?世論が中国にNOと言ってるんだから、朝日も中国にNOと言うの?言わんでしょ?世論が死刑制度にYESと言ってるんだから、朝日も死刑制度にYESと言うの?言わんでしょ?」てなことを、ぼやいた私。

 「世論世論ってうるさいねん!」とモヤモヤした気持ちでいたんですが、今日(12/29)の産経「正論」のおかげでちょっとスッキリしました。
 上坂冬子さんの論文で、題して
 <靖国問題は外交の根本変える好機だ/国立追悼施設見送りは当然の帰結>
 一部引用します。

(前略)
 政府関係者は追悼施設を求める声が「五割ぐらいに止まっている」として、世論の支持が足りないというのを理由にしている。
 どういう調査の仕方をしたか知らないが、私は靖国問題に関する限り、何をどう調査しようが賛否は五分五分にしかならないだろうと思っている。
 小泉首相は秋の例大祭初日に靖国参拝したが、その一週間前にNHKが首相の参拝の是非論に関する世論調査をしたとき、賛成四十三%、反対四十五%という数字が出たという。
 なぜ、賛否五分五分なのか。答えは簡単である。戦争を知らない世代が七〇%という時代になったからだ。
 靖国神社の何たるかも知らず、かつて「靖国で会おう」といって、男たちが戦地に行ったといえば、
 「うっそオ」
 と目を丸くする世代に向かって、参拝の是非を聞いても無駄だ。
ご近所とは仲良く世界平和を大切に、とおうむ返しに口にする世代は、近隣諸国が小泉首相の靖国参拝をそんなに嫌がるなら、止めておけばいいじゃないかという回答を寄せるのは当然だろう。
(中略)
 現状どおりだと、世論調査はいつまでたっても変動なしで、国民はボケたままである。もし来年九月まで、小泉首相が国立追悼施設にかかわりを持たないつもりなら、またとないチャンス到来というべきだ。
 いまこそ、靖国神社の何たるかを知らない世代に、良くも悪くも男たちが靖国で会おうと行って死んでいった時代の実情を伝えるべきであろう。靖国論争以前の問題として、国内的には靖国が日本人にとってどんな存在であったかを飛ばして近代史を学んできた人々に、靖国に結集したころの事実を伝えねば、靖国をめぐる話は噛み合うはずがない。

 上坂さんの仰るとおりですわ。
 戦争を体験した人、体験はないけど知識として知ってる人、体験も知識もないけど感覚的に一定の理解はできる人、一切興味がない人、興味がなくはないけど「ご近所とは仲良く」としか考えられない人、……。
 スタートラインがもう全然違ってるんですから、現状で世論が一つにまとまる方がおかしい。二つに分かれて当たり前なんですよね。

 無理に世論を一つの方向にまとめることはないと思いますが、ただ、今の日本人はあの戦争のことを知らなさすぎる。たとえ知識として知ってはいても、あの時代を生きた人たちの心情を理解しようという気持ちがあまりにも欠けているのではないか。「暗い時代で苦労を強いられた」程度の上っ面の理解しかしてないのではないか。
 えらそうに言える立場じゃないですが、私にはそう思えてなりません。

 あの時代を生きた人たちの気持ちが多少なりともわかれば、靖国神社の意義も自ずと理解できるようになるでしょうし、そうすれば、A級戦犯の分祀がどうとか細かい問題はともかく、少なくとも「中韓が参拝するなと言ってるから参拝はやめとけば?」てな消極的反対の人は減るのではないでしょうか。

 私(1964年生まれ)の場合で言いますと、教育の場で戦争体験談として聞いたのは空襲や原爆の被害ばかりです。戦場に行った方の体験談を聞く機会なんて全くありませんでした。
 戦後民主主義によって「日本軍=悪」という図式が植えつけられてしまったから、戦場体験者は話す機会を与えられなかったのだろうと思います。
 仮に「話を聞かせて下さい」と言われたとしても、自分たちが悪者扱いされている以上、積極的に話す気にならなかったでしょうし。
 そういう日本の妙な空気からまず変えていかねばならないでしょう(今の学校現場がどうなのかは私は知りませんが)。

 幸い近頃では、小野田寛郎さんがよくテレビや雑誌の取材に答えられていたり、『朝まで生テレビ』のように元日本軍兵士の方が忌憚なき意見を述べられるといったシチュエーションも見られるようになりました(中帰連とかが混じってたりするので注意が必要ですが)。
 また、以前はほとんどテレビでは扱われることもなかった「シベリア抑留」なんかも、最近は紹介されることが多くなったと思います。
 そうやって戦場体験者の思いを聞く機会が増えれば、今の視点で靖国神社を見るのでなく、戦前・戦中の日本人の視点で見ることも可能になるのではないでしょうか。

 上坂さんは論文の中でこういった解説もされています。
 「サンフランシスコ平和条約の第二十五条に、条約に署名、批准していない国には『いかなる権利、権原又は利益』も与えないと書いている。署名、批准した四十九カ国の中に中国も韓国も見当たらない。条文には、署名、批准していない国によって日本の利益が『減損され、又は害される』ことはないとまで書き入れてある。つまり条約に署名しなかった中国、韓国には、クレームをつける資格もないことになる」
 付け加えれば、サンフランシスコ平和条約に署名、批准した国々の政府から日本が靖国参拝について抗議を受けたという事実は全くないのです。

 こういった知識を持っている日本人が果たして何人いるのでしょう?
 中韓の理不尽な要求に対抗するには、まず日本人自身が勉強しなければいけない。だからこういった知識を得ることはぜひとも必要です。
 ただ、知識を得る前にまずは「感覚」を得ることが先ではないかという気がするんです。頭で考えるんでなく心で捉えること。それには上坂さんが仰るように、「良くも悪くも男たちが靖国で会おうと行って死んでいった時代の実情を伝える」ことから始めないといけません。

 戦前の日本人は靖国神社にどんな意義を見出していたのか。戦地に赴いた人にとって靖国神社とはどういう存在だったのか。なぜ「靖国で会おう」という言葉が自然と出るようになったのか……etc.

 これらを「感覚」として理解することにより、「知識」としての理解も進みやすくなると思います。
 もちろん「感覚」を完全に掴むことは無理でしょう。だけど想像力を研ぎ澄まして、実際に戦地に行かれた人の体験談など見聞きすれば、普通の人(運動で反日やってるとかじゃない人)ならきっとかなりの部分で理解はできるはずです。心情を共有できるはずです。この私がそうであったように。
 (左翼教師に洗脳され、ほんの10数年前まで「日本はアジア征服を目的に侵略戦争をした」「アメリカに原爆を落とされたのは日本の自業自得」と考えていた、この私ですらですよ!)

 だから、靖国問題を含めあの戦争についてこれから勉強したいという人に対しては、まずは、東京裁判がどう、サンフランシスコ平和条約がどうといった「知識」を得る前に、「感覚」であの戦争を捉えてみることからお勧めします。タイムスリップでもしたつもりで、あの時代を少しでも体感してみることだと思います。

 ということで、以前まとめた「憂国フラッシュリンク集」を紹介しておきます。
 ぜひあなたの周りの初心者の方に紹介してあげて下さい。活字は苦手だという方も、これならきっとご覧いただけるはずです。


・・・・・・細切れぼやき・・・・・・


■上海日本総領事館員自殺の件

 テレビも細々とではありますが伝えてるみたいですね。
 新聞では産経がパワー全開です。

社説:領事館員自殺 中国の諜報工作を侮るな
産経抄
上海領事館員 「遺憾な行為」で自殺 公安関与 政府、中国に抗議
狙われる日本外交官 共産圏、活発な工作活動

 今日(12/29)、中国外務省が定例会見の中でこの件についてコメントしています。
日本の抗議に「強烈な憤慨」…領事館員自殺で中国
中国外務省の秦剛・副報道局長は29日の定例会見で、「我々は、様々なやり方で中国の印象を損なおうとする日本政府の悪質な行為に強烈な憤慨を表明する」と強い調子で非難した。
 そっくり返しますわ。様々なやり方で日本の印象を損なおうとする中国政府の悪質な行為に強烈な憤慨を表明しますわ。
 あんたら今年、日本の国連安保理常任理事国入り問題でさんざん妨害工作やってくれましたよね?
秦副局長は、記者団からこの問題に対する中国側の調査内容の説明を求められると、「(日本の主張は)『下心のある誇張』という私の言葉から、何が事実なのか判断できるはずだ」として、説明を避けた。
 ……逃げてるし。どうせ調査なんかしてへんのやろ。
 そういや今日は↓こういうニュースもあった。

1万人、警察と衝突 中国内陸で8月 少数民族、土地強制収用に抗議
 共同通信が入手した事件当時のビデオ映像は抗議する農民を警察が拘束する緊迫した状況を映し出している。当局は衝突について報道を規制、中国国内では報じられていない。
 この手のニュース見るたびムカムカする。もうほんまマジで中共崩壊してくれんか。


ES細胞、存在せず=今年の論文は「完全なねつ造」確認−ソウル大調査委

 自浄能力が働いただけ、まだマシですかね。
 でも歴史に関しては全く自浄能力が働かない国なんですよね。

 韓国と言えば、潘基文外交通商相がこんなこと言うてます。
 また冷却が続く対日関係について「ことし1年、本当に難しい問題だった」と指摘。日韓両政府が国交正常化40周年の今年を「友情年」と位置付けたことに触れ「『友情年』なのに歴史問題で(関係)進展が成し遂げられなかったのは心が痛む」とし「日本が歴史を見つめる決断を下すのが重要で、来年はそうしたことが成し遂げられると期待する」と述べた。
 これまたそっくり返しますわ。「韓国が歴史を見つめる決断を下すのが重要で、来年はそうしたことが成し遂げられると期待する」!


■mumurさん経由でアンケート発見

 「憲法9条についてのあなたの意見は次のどれに近いですか」
 「1」が現実的なんだろうけど、理想は「2」ってことで、「2」に投票しました。


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