中国でいま何が起きているか
中国・発電所反対派住民襲われ死傷者 その瞬間映像
中国河北省で村民襲われ55人死傷 再開発巡るトラブル

 「報ステ」で映像を見ました。題して<中国・住民襲う「謎の集団」>。
 タイトルだけ見ると、強盗団かカルト宗教団でも襲ってきたのか?と勘違いしそうですが、そうではありません。

 鉄パイプのような物を振り回して住民を襲う集団。ババーン!と火を噴く銃。銃声は何度も続きました。ものすごい映像でした。まるで戦場のようでした。
 住民側は「やめて」「殺さないでくれ」と悲痛な叫びを上げています。襲撃側が「逮捕、逮捕!」と言っていました。明らかに「お上」の人間です。

 「報ステ」で、解説の加藤は「介入を指示したのは誰かわかりませんね」と言いましたが、中国共産党以外に一体誰がこんなことをできると言うのか。そこまでして中国政府を庇いたいか。

 中国はいま非常にいびつな状態になっています。
 中国全土で頻繁に農民の暴動が起こっており、昨年から今年にかけて約5000件も発生したと言われています。
 (今回の住民襲撃事件は「暴動」に発展する前に当局が潰しにかかったという印象です)

 暴動が起こる原因の根本は、急激な「改革・開放」が裏目に出て貧富の差が拡大していること。中国13億の民衆が揃ってイライラしているという状況です。
 日本が明治維新以降、産業構造の転換が徐々に図られたうえで約120年かけて近代国家に発展し、やがて成熟したのに対し、中国はこれを25年間で手っ取り早く達成してしまおうとしています。歪みが出てきて当然です。

 日本の富裕層と低所得層の格差は4対1ぐらいだという統計がありますが、中国では何と100対1ぐらいに格差が開いているそうです。
 日本のメディアは中国経済が発展しているように持ち上げていますが、豊かになったのは沿海の大都市のごく一部の階層だけ。

 中国では農地は国有なので、耕作する農民は地上権しか持てません。政府に「高速道路を建設するからそこをどけ」と言われれば、立ち退かざるをえません。
 ついこの間まで耕していた土地に高速道路が出来ても、農民らはお金も車もないから利用することさえ出来ません。

 ところが、腐敗した党幹部らはピカピカの車に乗って、料金も払わずに通行しています。
 それを見れば、「自分たちの土地をどうしてくれるのか。なぜあいつらだけが良い思いをしているのか」と、不満は蓄積されます。そして暴動になるのです。

 中国政府はいまのところ、人民解放軍や公安といった「暴力装置」で農民の不満を押さえつけてはいます。
 が、都市部のインテリや学生が中心になったこの春の反日デモとは違い、地方農民の不満にはもっと根深いものがあるのです。

 何かのはずみでこうした農民の不満が「暴力装置」と連動・連携したら、現在の一党独裁支配体制そのものが崩壊してしまう可能性もあるのです。
 それはひょっとしたら、金正日体制の崩壊よりも早く訪れるのかもしれません。

※参考資料:「諸君!」7月号<道義なき中国とは“対決”せよ!/中嶋嶺雄・国際教養大学学長>

Posted by くっくり 01:58 | 北東アジア | comments (0) | trackback (1)
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